いつものように使っている言葉が間違っていた、なんて経験がある方は多いと思いますが、「取り付く島もない」「取り付く暇もない」どちらが合っているかご存知でしょうか。
「島」か「暇」かの違いですが、「取り付く島もない」「取り付く暇もない」は実は誤用が多い言葉として知られています。
この記事では以下の点に焦点を当てて見ていきたいと思います。
- 「取り付く島もない」「取り付く暇もない」正しいのは?
- 「取り付く島もない」「取り付く暇もない」の意味・語源
- 「取り付く島もない」「取り付く暇もない」の類語
- 「取り付く島もない」「取り付く暇もない」の使い方
「取り付く島もない」「取り付く暇もない」正しいのは?

「取り付く島もない」と「取り付く暇もない」正しいのは「取り付く島もない」です。
「島」か「暇」かの単純な違いですが、母音も同じで読み方が似通っているため間違って覚えている方が多いようです。また、後ほど「取り付く島もない」の意味に関しても見ていきますが、その意味から判断して「島」ではなく「暇」として覚えてしまうこともあるようです。
文化庁が毎年実施している「国語に関する世論調査」の結果についてという16歳以上の男女2000人を対象とする日本人の国語力を問うもので、平成15年度では「取り付く島もない」「取り付く暇もない」について触れられていました。
- つっけんどんで相手を顧みる態度が見られないことを表す慣用句について
- (a) 取りつく島がない
- (b) 取り付く暇がない
- 結果:(a) →44.4% (b)→42.0% その他13.6%
「取り付く島もない」と「取り付く暇もない」、その割合はほとんど変わらないと言う結果になっています。これほど誤用が広がっているので、自分が正しく使っていても、もしかしたら相手側から間違った指摘があるかもしれませんね。
「取り付く島もない」とは

「取り付く島もない」の読み方
「取り付く島もない」は「トリツクシマモナイ」と読みます。
前述のように「島」か「暇」かの単純な違いですが、母音も同じで読み方が似通っているため「トリツクシマモナイ」ではなく「取り付く暇もない(トリツクヒマモナイ)」としてしまうので注意です。
後ほど「取り付く島もない」の語源について触れるのですが、その語源について理解するとストンと頭に入れることができると思います。
「取り付く島もない」の意味
「取り付く島もない」とはつっけんどんで相手を顧みる態度が見られないことという意味があります。
現在では、忙しくてそれどころでは無い状態で冷たい扱いをされたりするときに使うことが多い印象ですが、あくまでも愛想や言葉遣いがトゲトゲしい「つっけんどん」な際に使うものなので、使い方としては正しいとは言えないかもしれませんね。
この相手が忙しそうで頼ることができなそう=暇ではないということから、誤用である「島」では無く「暇」の「取り付く暇もない」が広まってしまったと考えられています。
「取り付く島もない」の語源
「取り付く島もない」の語源は、航海に出たのは良いものの付近に立ち寄ることができるような島がなく、停船・休息することができないという状況だとされています。
なので、頼みの綱である「島」が無い「取り付く暇もない」は、語源から判断するとすぐに間違いだと気づくことができますね。
「取り付く島もない」に限らず、紛らわしいものについては語源を見てみると覚えやすい、という場合があるので参考にして見てくださいね。
「取り付く島もない」の類語

「歯牙にも掛けない」
「取り付く島もない」の類語には「歯牙にも掛けない」というものがあり、読み方は「シガニモカケナイ」と読みます。
無視をする・全く気にしないで問題にしないという意味があります。
「木で鼻をこくる(くくる)」
同じように「木で鼻をこくる」というものがありますが、現在では「木で鼻をくくる」の方が一般化しています。本来であれば「木で鼻をこくる」が正しく、「木で鼻をくくる」は誤用とされています。
読み方は「キデハナヲコクル」「キデハナヲククル」です。
ひどく無愛想にもてなすという意味があります。
「けんもほろろ」
同じように「けんもほろろ」というものもあります。
人からの頼みや相談事を無愛想に拒絶するという意味があります。「取り付く島もない」の意味に1番近いですね。
「取り付く島もない」と「取り付く暇もない」どっちが正しい?まとめ
「取り付く島もない」と「取り付く暇もない」について見ていきました。
- 「取り付く暇もない」ではなく「取り付く島もない」が正しい
- 「取り付く島もない」の意味:つっけんどんで相手を顧みる態度が見られないこと
- 「取り付く島もない」の語源:航海に出たのは良いものの付近に立ち寄ることができるような島がなく、停船・休息することができない状況
- 「取り付く島もない」が正しいが、「取り付く暇もない」と間違って認識している人との割合は約5:5
読み方が似通っているので、つい「取り付く暇もない」にしてしまいがちですが、語源をしっかりと理解して間違わないようにしていきたいですね。


